農業を継続することを条件に固定資産税・相続税等の税務上の
メリットを受けることのできる市街化区域内の農地
生産緑地の現状
東京都内 | 箇所数 | 約11,800箇所 |
---|---|---|
面積 | 約3,388ha | |
23区内 | 箇所数 | 約2,200箇所 |
面積 | 約451ha | |
神奈川県内 | 箇所数 | 約9,000箇所 |
面積 | 約1,404ha |
- ※「風致地区、生産緑地地区、特別緑地保全地区等の指定状況総括表」
H25.4.1東京都都市整備局より - ※「かながわの都市計画のあらまし」平成26年度神奈川県より
生産緑地の指定要件
- ・500㎡以上の面積
- ・市区町村により都市計画法によって地区指定
- ・農林業の継続が可能な条件を備えているもの
指定解除の要件
- ・指定後30年経過すること
- ・相続発生時
生産緑地には3つの税務上のメリットがあり、営農継続が長く続き、
農業収支が合う方には良い制度です
- メリット 1
- 固定資産税が農地課税となる
生産緑地の固定資産税は、市街化調整区域内の農地と同程度の
課税となり、宅地に比べ何十分の1~何百分の1
固定資産税の計算例
● 市街化区域内の1,000㎡(評価額1億円)の土地
- ①宅地の場合
宅地評価1億円×固定資産税率1.4%=140万円/年額 - ②宅地化農地で現に農地として使用している場合
宅地評価1億円×(農地利用1/3)×固定資産税率1.4%=46万円/年額 - ③生産緑地の場合
調整区域農地と同等評価50万円×固定資産税率1.4%=7,000円/年額
- メリット 2
- 相続税の納税猶予制度が利用できる
相続時に納税猶予を選択した場合には、評価額のほとんどが猶予され、
相続人が終身営農することにより猶予金額は免除となります。
納税猶予の計算例
● 東京都世田谷区の畑1,000㎡、相続税路線価50万円/㎡
- ①本来の相続税評価額
土地面積1,000㎡×路線価50万円/㎡=5億円 - ②納税猶予を選択した場合の相続税評価額
相続税路線価によらず、「農業投資価格」にて相続税評価される
東京都の農業投資価格=1,000㎡当たり84万円(※H24年度価格) - ③納税猶予の対象金額
①-②=5億円-84万円=499,160,000円が納税猶予の対象金額
- メリット 3
- 相続税の評価減の適用がある
生産緑地の相続税評価額は通常の土地評価から、
減額割合(5~35%程度)を乗じて出した金額を控除して評価します。
納税猶予の計算例
● 東京都世田谷区の畑1,000㎡、相続税路線価50万円/㎡
- ①買取申出できない生産緑地
減額割合10~35% ※継続期間により割合が異なる。 - ②買取申出できる生産緑地
減額割合5%
生産緑地には大きく4つの問題点があり、
特に営農継続でお困りの方には切実な問題となります。
- デメリット 1
- 継続解除問題
営農継続できないからといって、
それだけで生産緑地を解除することはできません。
- デメリット 2
- さかのぼり課税問題
生産緑地が解除されても納税猶予は免除されず、
相続時にさかのぼって課税されます。
- デメリット 3
- 土地活用問題
生産緑地は「行為が制限」され、
「管理が義務付けられ」ていますので、
自由に土地活用はできません。
- デメリット 4
- 相続対策問題
広大地・無接道地の生産緑地をそのまま相続すると、
相続・納税対策が困難となります。
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